マレーシアの芸能関係者は博学なひとが多い。
このあたりの伝統的な音楽やダンスを説明するには、
1) 中東商人との交易
2) 中国商人との交易
3) 欧米による植民化以降の経済と交易
への知識が必須だし、
a) イスラム教
b) カトリック、プロテスタント両方のキリスト教
c) 仏教
の宗教思想への理解も必須。
加えて、第二次大戦中の帝国日本や、二次大戦後の独立をめぐる欧米の干渉、昨今の欧米資本の進出の弊害や先住民族の問題点もよく知っていなければならない。
たとえば、上は衣料(テキスタイル)の発達を説明する資料だが(国立テキスタイル博物館より)、「インドから」「インドネシアから」「中東から」「中国から」のそれぞれの影響を矢印で説明しているのが見える。
言語についてもレベルが高く、芸能関係者にかぎらず、マレーシアのひとは英語、マレー語、中国語ほか、3カ国語以上の言語を喋れる人が多い。道を歩いていると、4つ以上の言語が書かれた標識を見ることもある。たとえば、
上の標識での言語の順番は
「英語」
「中国語」「タミル語(インド系)」
「マレー語」
こちらの標識での順番は、
「マレー語」
「英語」
「中国語」
「タミル語(インド系)」
これらは古い標識だが、新しい標識でも、
こちらは空港の例で、Informmasi / Information(情報の意味)と2つの言語が併記されている。
こちらはクアラ・ルンプール内の例で、左の標識はマレー語、右の標識は英語(EXIT)、と町中でも、複数の言語標識が混ざっているのが見える。
この状況は、言葉を喋るときも同様で、マレーシアのひとは挨拶や数字はマレー語で言って、会話は英語、中国系同士が喋るときは中国語と、言語を混ぜながら喋ることも多い。
<例文>
A “Selamat pagi” おはよう – マレー語
B “Good morning” おはよう – 英語
A “Sudah makan? I have apples, let’s eat!” ご飯は済ませた?りんご持っているから食べようよ – マレー語→英語
B “satu, dua, tiga, three apples” 1, 2, 3, 3つあるね – マレー語→英語
A “Sila, sila” どうぞ どうぞ – マレー語
B “Xiexie” ありがとう – 中国語
なにも知らないと「なに語を喋っているんだ?」「こちらを試しているのか?」と驚くが、普通の日常光景である(笑。
個人の努力も大事だが、思想や技能の発達には環境「が」大事ということだろうか?
願わくば日本も、文化の認識、言語能力の水準ともに、これくらい発展してくれればいいんだけど・・・
なお、マレーシアの英語はイギリス系の英語で、発音も文法も言い回しもきれいなので、語学留学を考えているなら、選択肢に入れてみてもいいと思う。
{文了}